「AIに負けない子どもを育てる」
子育て中のママやパパにとっては、今や我が子のライバルはAIの時代。
あぁ~どうしたらいいの!?
そもそも人生100年時代。
子供どころか親の私だってAIに仕事を奪われるんじゃないの?
っと戦々恐々となってしまいます。
そこで、今回は話題の一冊、
AIに負けない子どもを育てる [ 新井 紀子 ]ご紹介したいと思います。
これを読んで、AIに怯える子育てから、開放されましょう!
それでは、レッツゴー
AIに負けないってどういう意味?~「AIに負けない子どもを育てる」より
本書ではAIは統計と確率のスペシャリストである一方で、文の意味を理解することが全くできないということを教えてくれます。
新井さんによると人間を越えてロボット自身が考えて行動するシンギュラリティも来ないそうです(詳しくは前作「AIvs本が読めない子どもたち」を読んでくださいね)
つまり、AIの弱点こそ「読解力」なんです。
この読解力があれば、人間はAIに勝ちます!
そこで本書はまず、AIに理解できない「読解力」って何?ということを
分かりやすく解説するために
「体験に勝る勉強はない!」ということで、
中高生に実施しているリーディングスキルテストを読者に体験できる仕様になっています。
制限時間は35分。
が、実はここがポイントなんです。
リーディングスキルテストをやってみると・・・
「正直、大人でも難しい」です。
解説みても、なお意味が分からない…
なんてこともある、恐ろしい現実が待っています。
もう、ここまで来ると「ホラー」です。
AIに負けないというより、完璧負けるじゃないか…
絶望感すら感じてしまうかもしれません、泣
そして
新井先生はとどめを刺すように、言い放ちます…。
たぶん、「入試が暗記を求めるから、暗記をする」のではありません。「入試は読解力を求めているのに、読解力が不足している人は(AIと同じように)暗記に走らざるを得ない」というのが事の真相ではないでしょうか。
「AIに負けない子どもを育てる」新井紀子 より引用
「読解力がない子どもがやがて暗記に走る」と。
そう、これこそがAIが一番得意とする領域に子どもが足を踏み入れてしまう行動そのものなんです。
こうなったらゲームオーバー。
AIに人間が暗記で勝てるわけがありません。
そこで今回は特に幼児期における「子どもが読解力をあげる方法」をたった2つにまとめてご紹介します。
著者のプロフィール~人工知能の研究者:新井紀子さん
まずは著者のプロフィールを紹介します。
新井さんは一橋大学卒業後、イリノイイ大学の大学院を経て、東京大学の博士を取得。
現在は国立情報学研究所の教授です。
2011年から「ロボットは東大に入れるのか?」という人工知能プログラムのプロジェクトディレクターを務め、2016年には「リーディングスキルテスト(RST)」の研究開発をしている、生粋のリケジョ。
2018年出版の前作「AIvs教科書が読めない子どもたち」はベストセラーになり、続編になるのが本書「AIに負けない子供を育てる」です。
目次の紹介~AIに負けない子どもを育てる
こちらが本書の目次になります。
- AIの限界と「教科書が読めない子どもたち」
- 「読める」とはなんだろう
- リーディングスキルテスト、体験!
- リーディングスキルテストの構成
- タイプ別分析(RST結果からわかる)
- リーディングスキルテストでわかること
- リーディングスキルテストは上げられるのか?
- 読解力を培う授業を提案する
- 意味がわかって読む子どもに育てるために
- 大人の読解力は上がらないのか?
リーディングスキルテストの詳細が本書では紹介されています。
また本書では「幼児期、小学校低学年、小中学校、高校、大人」に分けて読解力アップのための学習方法についても述べられていますよ。
こどもの読解力を上げる方法①0歳から保育園に通う「AIに負けない子どもを育てる」より
子ども、特に幼児期の子どもの読解力を上げるには「保育園」に通わせましょう。
はぁ~助かったぁ!
何を言われるかと思えば、0歳から保育園に通わせるでしたよ。
異年齢保育で、友達と遊んだり、喧嘩をしたり、ゼロ歳から母語のシャワーを浴びることが大切だそうです。
つまり幼少期では「体験こそが最大の学び」なんですね。
その上で本書では幼児期に下記のことをオススメしています。
- 絵本の読み聞かせ
- ごっこ遊び
- 広告や駅名を読み上げる
- 貨幣(電子マネーではない)を使って買い物をする
- 身近な自然に触れる(生き物を育てたり、水の流れを感じたり天体観測したり)
いずれもインターネットから切り離されたリアルな外部の世界と接触する機会を与えることで、子どもの言語や論理的思考のタネを育てることに繋がるそうです。
AIに負けない子どもを育てる [ 新井 紀子 ]子どもの読解力を上げる方法②:子どもと歩きましょう~「AIに負けない子どもを育てる」
子どもと一緒に歩くことも大切だそうです。
歩くことは様々な自然現象の発見につながるからです。
人間は怠惰な生き物であると述べられた上で、一度バギーに乗せるのに慣れると子供はだんだんと歩かなくなりますよね。
たしかに、そうですね。
歩かなくなると地面に這うアリの様子をじーっと観察したり、木々が風に揺れ、紅葉する木々を眺める時間を奪ってしまうかもしれない、と危惧しています。
キャンプに行けばイイのかな?
といえば、答えはNOです。
365日、毎日身近な自然の変化に気をとめ、
「なんだろう」「なぜそうなるんだろう」と疑問が湧くほど時間をかけて観察することがとても大事だそうです。
夏休みの自由研究みたいな感じですね。
早く帰りたいという親の都合でバギーに乗せる…
この1回が、1週間が、子どもの能力を下げる結果に繋がるとしたら…
明日から保育園のお迎えは徒歩にしなきゃな…、汗
大人の読解力を上げる方法~ゆっくりでも正確に読む練習をする
最後に子育て中のママ・パパに向けて、読解力を上げる方法ですが、
それが「ゆっくりでも正確に読む練習をする」です。
さて、突然ですが、こちらがリーディングスキルテストのある1問です。
以下の分を読みなさい
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適切なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
グルコースからできているのは、デンプンと( )である。
①セルロース ②アミラーゼ ③酵素 ④形
「AIに負けない子どもを育てる」新井紀子 よりRST問題 引用
さて、できましたか?
できたから○、できなかったから✗という話しではなく、
ゆっくり読み解くとは、こういうことだそうです。
ちなみに回答は①セルロースです。
本書では上記のようなRST問題が合計28問登場しますので、35分間で得には結構集中力が必要でした。
大人の読解力をあげるには、いつも飛ばし読みしている読書をじっくり3~4時間かけて読み解いてみる。
やっぱり読解力アップには1にも2にも、大人の心の余裕が大切なようです。
さいごに~
ちなみに新井さんはこの本の印税で日本全国の幼稚園・保育園・小学校・中学校・高校のホームページを無償で提供したいそうです。
多様なルーツを持つ子供が通い、母国語が日本語ではない両親もいるため、日本語の読解が非常に難しいため、多言語で学校の資料が読めるようにしたいという想いがあるそうです。
ぜひ購入して、未来の子どもたちへの投資にしたい一冊でした!